三笠宮殿下御賞味の鮎@栃木県さくら市喜連川「明星漁業生産組合」

2020/08/20訪問
夏に山で食べられる魚と言えば私は真っ先に鮎を思い浮かべます。

8月のちょうどお盆の時に栃木県下今市で、鬼怒川沿いの鮎が食べられる場所へ行きました。
川魚田舎料理「船場亭」
船場亭←数年前のウェブ上にあった良い記事です。臨場感が伝わります(^^)



目の前に鬼怒川が流れ、その食事処で食った鮎はとても旨かったのですが、鮎を焼くおじさんが「目の前のこの川には鮎はいね~よ。みんなこれ養殖だから」と言っていました。ではこれら鮎はどこで養殖されているのだろう?と思いその後、栃木県内にある鮎養殖場をネットで色々調べました。

調べた結果興味深い養殖場がいくつかでてきましたが、予約をすれば塩焼きだけでなく色々な調理方で鮎を食える唯一の場所と情報が出てたので、この明星漁業生産組合さんへ行ってみる事にしました。

ちなみに上記鬼怒川沿いお食事処の鮎がこの養殖場から仕入れてるかは分かりません。
前日は宇都宮に泊まり、当日は朝9:20頃到着。氏家駅から現地までは約8キロ。もし徒歩で行くなら上記の通りかなり時間かかります。当然歩いて行く距離ではありません。

私は駅前の観光案内所でレンタルサイクルを利用する計画を立てていたのですが…
私としたことが、事前の情報収集をミスしてしまい氏家駅前の観光案内所にはレンタルサイクルはありませんでした。しかもバスも1日に数本しかないレベル。もうタクシーしかないなと思いましたが、タクシーを待ってる人達はいてもタクシーが一向に来ない…

鮎養殖場にはam11時に予約をしていて、この時点で9:40をまわってました。もう悩んでる時間はないと思い、徒歩で行く決意を固めました(>_<)

ちなみに上記Google Mapだと左側のルートで1時間38分、私は一人で歩いてる時のスピードはかなり早いと自信があったので、道に迷わなければ11時ピッタシには着けるだろうと己の決意を信じ歩き出しました。
ちなみにこのルート周りは田んぼばっかりで何もありませんでした。まあとにかく暑くて暑くて体力がガンガン削られてる感覚です。

辺りの様子を写真撮影する精神的余裕も時間もありません(>_<)

ひたすら歩き続け、上記赤の矢印のあたりでちょっとした山道に入るのを見た時、精神的しんどさは倍になりました(>_<)

もしかしたら11時には着けないかもと思い、鮎養殖場へ電話し11:30には行けるはずと伝えました。

炎天下を汗だくになり約1時間歩いた時点で、いい加減水分補給しなきゃと自販機で買った普通の水が旨いこと旨いこと!ただの水があんなに旨く感じるなんて高校の剣道部以来でした!(^^)
そうこうしてる内に目的地の鮎養殖場と思われる看板を発見!
ついに到着しました!今回の目的地「明星漁業生産組合」さんです(#^.^#)
養殖場入り口の道路にはこのようなノボリが出てます。ところでこの「おとりあゆ」とは鮎友釣りに使うおとりです。近くの川では鮎が釣れるようですね(^^)
さて敷地内に入って行きましょう(^^)

一番奥の建物に人が見えたのでそこへ行ってみます。



鮎を焼く場所に女将さんとご家族と思われる方々がいましたので、先ずはご挨拶させて頂きました。結局ほぼ当初の予定通りに着いたのですが、氏家駅から歩いて来たと言ったら女将さん「え~!」と驚いてました(^^)




さて、敷地内には鮎を生育する池が屋内外に見えます。




今回こちらへ訪問するにあたり色々調べて驚いたのは、栃木県の鮎養殖は東日本ナンバーワンで、ここ喜連川地区の鮎生産量が県内約80%をしめるとの事です。

この明星漁業生産組合さんは昭和46年に創業、きっかけは1年を通し水温18.5度で豊富に湧き出る那須水系の地下水に出会ったからだそうです。

地下75メートルから汲み上げられる素晴らしい天然地下水は飲料にも最適で、ペットボトル持参で遠方より水を汲みに来る人も多いのだとか。

人間が飲んでも美味しく安全な天然地下水で育てられた鮎も安全安心です。ある意味天然鮎と遜色ない、もしくは安全性ではそれ以上と言えるかもしれません。

そんな鮎を使って色々な調理方で提供される「鮎尽くし」を早速食べさせて頂きましょう!(^^)




お食事処は同じ敷地内別の場所にある建物です。先にここに入って待っていて下さいと言われ中へ入ります。なんかオラわくわくしてきたぞ!(^^)

中は広く、各テーブルには炭火焼きできるスペースがあります。更に色々見ていきましょう!

↑動画で見ると中の様子が分かりやすいですよね。ちなみにこの動画撮影してる最中、足をテーブルにぶつけたので途中ちょっと画像がブレてます(>_<)

↑あれ?あの冷蔵庫はもしや…

↑うお~!!ヤッター!ビールあんじゃない!(^O^)なんせこちらのホームページにはビールあるって書いてなかったから諦めてましたよ!これ見た瞬間炎天下を8キロ歩いてきた疲れが一気に吹き飛びました!


料理が来る前に壁を色々見るとお品書きや、何かの記念写真がいっぱい貼ってあります。

ここで一番の注目ポイントはこの写真↑中央に書いてある「三笠宮殿下御賞味の鮎」って事でしょう。

↑大正天皇の末弟三笠宮殿下は昭和62年にお忍びでここ明星漁業生産組合にて鮎料理を召し上がりました。この時日本オリエント学会(三笠宮殿下が初代会長)の会合が栃木であり、親交のある足利尊氏の次男・基氏の、喜連川家末裔と会食されたとの事。

ちなみに喜連川藩は、関ヶ原の戦い後に立てられ、明治維新を経て子爵家となった華族。歴代の足利家のお墓が近くの龍光寺にあります。

さあ!お待ちかね鮎料理を堪能しましょう!先ず運ばれて来たのは鮎塩焼き2匹、鮎刺身、子持ち鮎甘露煮、小鮎南蛮漬け、鮎うるか、喜連川の南瓜煮付け。

先ずは刺身から食ってみましょう。非常に良い盛り付けです(^^)

細長く一瞬ヒラメのエンガワっぽくも見える切り方です。味は上品で繊細な白身魚と言った感じで、海産の白身とは明らかに違うのが分かります。旨いです(#^.^#)

地元喜連川で採れたミョウガが付け合わせに乗っているのは嬉しい。このミョウガそのまま食べても凄く冷涼で美味しく、鮎の身にワサビと交互に付けて食べました!旨いです!(^^)

刺身を完食した時、大葉が現れましたがその色、感触、鮮度、風味が明らかに普段都内で食べるそれとは違ったので女将さんに聞いたところ、ここの敷地内で収穫した完全自家製の物との事。こんな脇役の食材にも心を添えているのが堪らなく嬉しくなりました(^^)

では塩焼きを食ってみましょう!(^^)

よくヒレをピンと立たせて焼いているなと思います。鮎の躍動感がそのままです(^^)

この塩焼きは非常に香ばしく、皮やヒレはパリパリ、絶妙の塩&焼き加減で頭からヒレ、尻尾、骨まで全て柔らかく美味しく頂きました。しかし旨いもんを当てに飲むビールってなんでこう旨いんでしょう!(^^)

続きまして鮎うるかです(^^)

私の写真撮影の技術が悪いのでこの画像ではよく分かりませんが、うるかは鮎の内蔵の塩辛です。実は昨年別の場所で初めて食いましたが、私の口に全く合わなくかなり残しました(>_<)

しかしこのうるかは少量で提供され、ひとくち口に含むとほろ苦さと酒粕か糀の風味に交じり、絶妙な塩加減の元、鮎のワタの味もしっかり確認できる逸品に仕上がってます!以前食った物とは天と地の差。東京銀座辺りの高級和食店で食えるような感じ。日本酒が欲しくなります。かなり旨い!(^^)

次は子持ち鮎の甘露煮&喜連川産生姜と味噌です(^^)

子供の頃よく読んでいた釣りキチ三平で、鮎の卵をブリコと言っていたのを思い出します。甘露煮は甘からずで非常に旨く、更に口直し的に添えてある生姜も凄く旨くてビールが進みます!(^^)

次は南蛮漬けです。これは小鮎を使っています。丸ごと柔らかく美味しく食べれます。そして一緒に漬けてある地元喜連川の野菜も堪らなく旨く、特に下に敷いてあるトマトスライスがセンスあります!(^^)

喜連川産南瓜の煮物。トコトン地元野菜で構成されているの非常に良いです。品のある甘さで非常に旨いです!(^^)

お豆腐です。さりげない脇役ですが、一味違います。旨い(^^)

さて、最初に提供された7品目は全て美味しく完食しました。そして後半の鮎料理が運ばれて来るのを待ちます。

ところでこの食事処の建物クーラーがなく扇風機だけなんですが、不思議な事に全く暑くないです。窓は空いていまして扇風機がなくても大丈夫だと思いました。実際に食事してる最中私は全く汗をかいてません。

確かに、ここへ到着する前に炎天下鬼のような暑さを体験しましたが、それは置いといてもこの建物内は暑さを感じません。不思議です(^^)

いよいよ後半の料理がやって参りました!先ずは鮎一夜干しと喜連川産キュウリ&ナスのお漬物です!このタイミングに合わせビンビールも追加しました!(^^)

海の魚で一夜干しならいくつか食った事ありますが、鮎の一夜干し焼きは初めてです。

ひっくり返して皮目の部分を見ましたが、これもかなり丁寧に焼かれているのが分かります。黒焦げ部分が尻尾の先端以外ありません。

鮎自体淡白なのに、一夜干しで良くここまでうま味を引き出せるなと思いました。

先ずアジやイワシの一夜干しと比べ全くクセがなく、マイルドな旨味があり、当然頭から骨まで全て食えます。明らかにそれら魚より骨が柔らかいです。安心して一気にかぶりつける感じで、非常に旨いです!(^^)

このお漬物も喜連川産野菜で当然自家製との事ですが、私がよく行く都内居酒屋で出される物とは旨さのレヴェルが違います。優しくクドくなく、昔お婆ちゃん家で食ったような懐かしい味わいです(^^)

鮎と大葉の天ぷらです。

ころもがカリカリ香ばしく、非常に旨いです(^^)

いよいよ最後の料理です。「鮎飯」と「鮎こく」です。デザートに梨とブドウが付いてます(^^)

鯉コクと言う鯉の輪切りが入った料理を聞いた事があるでしょうか?これはそれを鮎で作ってます。この「コク」と言うワードは江戸時代以前から食べられてきた「濃漿(こくしょう)」に由来します。

「濃漿」は魚や肉を味噌で濃いめに煮て作る料理で、分かりやすく言えば味噌汁やあら汁みたいなイメージです。

通常この料理は材料から旨味を引き出すのがポイントで、おそらく輪切りの鮎からタップリとエキスを煮汁に溶け込ませ味噌を投入し味を馴染ませていると思います。1口汁をすすっただけで鮎の旨味が感じられました。本当に旨い!しかも鮎の白子も入ってました!(^o^)

さて、いよいよ最後の鮎飯です。
鮎飯の作り方をネットで調べると大体は、焼いた鮎を丸ごと、もしくは素焼きにした鮎の身を手でほぐし生米、醤油で一緒に炊き上げ、米の一粒一粒に鮎の香りと旨味を閉じ込めると出てます。

これはまさにその通りに作ったような感じがします。鮎飯自体味は濃くも薄くもなく、米にしっかりと鮎の味がします。よく見るとほぐした鮎の身も入っており非常に旨いです!
ちなみにこの鮎飯は炊飯器ごと持って来てくれます。中にまだ茶碗1杯分位残ってましたが、さすがにもうお腹いっぱいで、旨いんですけどもう入りませんでした(#^.^#)

食後は麦茶を飲んで鮎料理の余韻に浸ります。本当に旨かった!。そういえば子供の頃、夏と言えば家で母親がこんな容器でいつも麦茶作ってました。なんか懐かしい気分になります。

この食事処私以外誰もいなく、明るく開いた窓の外からセミの鳴き声が心地よく響いてきて非常に居心地が良いです。

さてこの写真↑色あせして見づらいですが、なんて書いてあるか分かりますか?(^^)

三笠宮殿下も御賞味したここ明星漁業生産組合さんの鮎は、伝説のテレビ番組「料理の鉄人」で、初代和の鉄人として有名な道場六三郎氏の店「銀座ろくさん亭」でも使われているとの事です(^^)

ちなみに三笠宮殿下はこの写真一番奥に座られたそうです。

さて、栃木県下今市で食べた鮎に興味を持った事を発端にネットで鮎に関する様々な事を調べ、ここへたどり着いた訳ですが、鮎尽くしの美味しさ、それら鮎はどう育てられているか、そして喜連川で鮎を養殖している方々の努力、本当に色々な事を学び勉強になりました。

女将さんより11月にはメス鮎は卵を抱えそれを塩焼きし、オスからは白子が取れ、それをポン酢で提供する時もあるとの事です。

次回はそれらがどんなもんか味を確かめにまた来たいと思います(#^.^#)

コメント

  1. レポート読ませて頂きました!

    実は「船場亭」には行ったことがあります。からぶき屋根の雰囲気あるお店ですよね。焼き立てでカリカリの鮎の塩焼き…を思い出しました◎もう1軒の「青木屋」は行ったことないですね。目の前の川のせせらぎを聴きながら食する鮎は美味しかったでしょうね~。

    それにしても「明星漁業組合」はこれまた最高の場所ですね!いつか行ってみたいです◎しかもビールもあるなんて。ちなみにノンアルコールビールはありましたか??このコース凄いですが…おいくらだったのか今度教えて下さい(^^♪貴重なレポートありがとうございます!!

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    1. コメントありがとうございます(^^)メニューは明星漁業生産組合さんのホームページに乗ってますが、気を付けなければならないのは、全て事前予約が必要った事です。当日いきなり行っても予約がないと何もたべれませんのでその点だけご注意下さい(^^)

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